マンションの高層階から50代の男性が物を投げ落とす事件や、
子供が物を落とすという事件がありました。
一歩間違えば死者が出てもおかしくない危険な行為。
ゾッとします。
ひるおびで、
マンション高層階から物を落としてしまったら罪になるのか?
強風で建物の一部が剥がれて落下した場合の責任は誰?
などの疑問に八代英輝弁護士が回答したものを記事にまとめました。
万が一そんなことに遭遇しないとも限らないので、
チェックしてみてくださいね。
マンション9階から物を投げ落とし事件
10月27日、
和歌山市のマンションの9階から1時間に渡って、
物を投げ捨てるという異常な事態がありました。
投げられたものは、
・自転車
・サーフボード
・金属バット
・植木鉢
・レンガ
・衣装ケース
幸い大怪我をした人はいませんでしたが、
車数台が破損、
一人のお腹にあたるという被害もありました。
警察は9階に住む50代の男性を連行していますが、
何故投げ落としたのかなど詳細は不明とのことです。
マンションから物を投げ捨てる罪は?
今回のように、
マンションの高層階からものを投げ捨てる行為は
「犯罪」
落下物で物を破損した場合:
器物損壊罪
→3年以下の懲役、または30万円以下の罰金もしくは科料
落下物で怪我をさせた場合:
傷害罪
→15年以下の懲役または50万円以下の罰金
殺人未遂罪
→殺人罪の刑罰 死刑または無期、もしくは5年以下の懲役(未遂の場合 減軽の可能性あり)
*人に当たると死亡する危険のあるものを投げ捨てた場合は、
殺人未遂罪も視野に入リ、重い罪になるということです。
高層階から物を落とした場合の罪は?
例えば、
マンションのベランダでタバコを吸う男性もいると思いますが、
高層階のベランダの手すりに灰皿を置いて一服、
うっかり手が当たってアルミの灰皿が下に落ちて下を歩いていた隣人に怪我をさせてしまった。
この場合、
Q:犯罪になるのでしょうか?
A:なる(可能性が高い)
八代弁護士によると、
”高層階というのが一つのポイントで、
高層階から物が落下すれば落下速度で物の重さよりも大きなエネルギーになる。
誰かが怪我をする可能性があることは、誰もが容易に予想可能。
このような場合には、
事故を起こさないよう十分な注意を払う義務がある。”
ということです。
十分に注意したいですね。
注意を怠って怪我をさせた場合:
注意を怠って怪我をさせた場合→過失(不注意)あり
ということで、
過失傷害罪:30万円以下の罰金、または科料(かりょう)
重過失致死傷罪:5年以下の懲役、もしくは禁錮または100万円以下の罰金
となるそうです。
例えばこんな注意義務
ではベランダでタバコを吸うとして、どんな注意義務があるのかというと、
・手すりから離れて灰皿は手に持って吸う。
・灰皿は落下しない場所に置いて吸う。
・怪我をさせない素材の灰皿を使う。
このような注意義務が考えられるということです。
ベランダから灰皿落下の罪は?
不安定な場所に硬い素材の灰皿をおいて喫煙したということなので、
注意義務を怠り怪我をさせた過失(不注意)ありとなり、
↓
「犯罪になる」でした。
今回の例では、
うっかり手を当てて灰皿を落としてしまった例ですが、
これが風にあおられて落ちた場合も、
同じく過失(不注意)ありとなるそうです。
また、
灰皿に限らずこれが布団であったとしても、
風にあおられて落ちることもあり、
高層階から落ちると相当な重量になるためけがをすることもあり危険。
手すりに掛けるなどはやめて欲しいということです。
風の強さによる影響
今週各地で強風が相次ぎました。
10月30日:
東京地方・近畿地方 木枯らし1号
最大瞬間風速 東京19.6m
台風22号にともなう強風で、
札幌市 最大瞬間風速 26m
風の強さと人・建物への影響は以下になります。
平均風速10~15m/s 瞬間風速20m/s以内:
人→風に向かって歩きにくくなる、傘がさせないなど。
建物→樋が揺れ始める
平均風速15~20m/s 瞬間風速20m/s以上30m/s以内:
人→風に向かって歩けなくなり点灯する人も。
建物→屋根瓦・屋根葺材がはがれるものがる。
平均風速20~25m/s瞬間風速30m/s以上:
人→何かにつかまっていないと立っていらない、飛来物により負傷する恐れあり。
建物→屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがある。
強風による落下物の例
今週起きた強風による落下物があったのかというと、
ありました。
千葉・柏市:
飲食店が入るマンションで直径約3mの装飾品が落下。
甲府市:
店舗の看板の一部が落下
北海道・当別町:
住宅の屋根が落下
札幌市:
看板が落下→国道230号が一部通行止めに
北海道・小樽市:
建物の壁が一部落下。
強風による落下物の責任は誰にある?
例えば、
毎年強い台風に襲われる地域で、
台風の後に車を見たらボンネットが飛んできた瓦で大きく凹んでいた。
隣の家の屋根を見ると瓦が一部なくなっていた。
隣の家に修理代を請求。
→瓦が落ちたのは台風のせいと拒否された。
Q:修理代は隣の家に請求できるの?
A:出来る可能性が高い
民法第717条では、
土地の工作物(建物)の設置または保存に瑕疵(通常必要な安全性の欠如)があり、
それが原因で他人に損害が生じた場合は占有者(住人)が賠償責任を負う。
今回の例は、
隣人の家の瓦が台風で落ちて車に損害が生じた自然現象によるもの。
ポイントは、
隣人の家の設置または保存に瑕疵があったかどうか。
安全性が保たれていたのか?
実際の事例
こちらは実際似合った事例ですが、
A宅の瓦が台風で飛び、
隣家の建物を直撃。
1980年7月31日福岡高裁の判決では、
”建物の保存に瑕疵がないというには、
一般に予想される程度までの強風に耐えられる必要がある。
↓
瑕疵の判断①地域性:
Aが住む地域は過去にも同程度の台風に襲われたことがある。
こういった地域なら備えが必要。
瑕疵の判断②他の家屋との比較:
周辺の家屋に比べA宅の屋根の被害状況が大きかった。
以下の状況から、
瓦を固定するなど通常必要な安全性が欠如していた。
よって、
Aが賠償責任を負うという判決に。
八代弁護士によると、
住んでいる地域や台風の大きさで賠償責任のジャッジが変わるということです。
なので、車のボンネットに瓦が落ちたケースも、
地域性と他の家屋との比較で、
瑕疵があったと判断でき、
隣人に車の修理代を請求できるということです。
なるほど、納得です。
ちなみにもし瓦が複数飛んで何台もの車を破損した場合でも、すべての修理代を支払う義務があるということです。
マンションの6階なので気をつけようと思います。